【令和2年分 確定申告】給与所得者で確定申告が必要な場合

【令和2年分 確定申告】給与所得者で確定申告が必要な場合

記事作成者:税理士 林 正和(東京都 板橋区) 公開日:2020年12月17日

給与所得者の確定申告ついて税理士が解説します

給与所得者でも確定申告をする場合があると聞きました。どのような場合に確定申告が必要になるのか教えてください。
例えば次のような場合に、給与所得者でも確定申告が必要になることがあります。

(1) 年間の給与収入が2,000万円を超えている
(2) 給与所得以外にも所得がある
(3) 2か所以上から給与を受け取っている
(4) 退職した後に再就職していない

その他にも、医療費控除や寄付金控除などの控除を受ける場合にも確定申告が必要です。

(注) 説明については、国税庁のホームページを参考にこれを加工してできるだけ分かりやすく作成しています。そのため割愛している部分もあります。より詳しい内容をご覧になりたい場合は次のリンクから国税庁のホームページをご確認ください。

国税庁ホームページ
給与所得

国税庁ホームページ
令和2年分の確定申告に関する手引き等

給与所得者の確定申告

給与所得者は、原則として確定申告は必要ありません。なぜならば毎月の給与から源泉所得税が徴収され、かつ、年末調整で所得税額が確定し、納税も完了するためです

(1) ただし、給与所得者でも次のような人は確定申告が必要になる場合があります。

① 年間の給与収入が2,000万円を超えている

② 給与所得以外にも所得がある

③ 2か所以上から給与を受け取っている

④ 退職した後に再就職していない

上記④については、確定申告をすると還付になる可能性が高いと思われます。

国税庁のホームページで、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければならないと説明されています。

1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人

(注) 給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

(注) 給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額には、次の所得は入りません。

1 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの

2 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの

3 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの

4 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等

5 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益

6 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

(出典:国税庁ホームページ

(2) また、次の控除を受ける場合にも確定申告が必要となります。

(所得控除)

(1) 雑損控除
(2) 医療費控除
(3) 寄附金控除

※ 所得控除については次の記事で解説しています。

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【令和2年分 確定申告】所得控除一覧

(住宅ローン控除)

(4) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除(年末調整で控除を受けている場合を除く。)

(寄付金特別控除)

(5) 政党等寄附金特別控除
(6) 認定NPO法人等寄附金特別控除
(7) 公益社団法人等寄附金特別控除

(その他)

(8) 住宅耐震改修特別控除
(9) 住宅特定改修特別税額控除
(10) 認定住宅新築等特別税額控除など

令和2年分の改正点

令和2年分 確定申告ではおもに次の改正がなされています。

・基礎控除の引き上げ
・給与所得控除の引き下げ
・公的年金等控除の引き下げ
・所得金額調整控除の創設
・扶養控除、配偶者(特別)控除の変更
・ひとり親控除の創設、寡婦控除の見直し
・青色申告特別控除の変更

おもな改正点については次の記事で解説しています。

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【令和2年分 確定申告】おもな改正点

確定申告書の提出

確定申告書の種類

確定申告書には確定申告書A確定申告書Bがあります。

給与所得しかなければ「確定申告書A」を使用します。

(1) 確定申告書A

(出典:国税庁ホームページ

申告する所得が次のものしかない場合には、確定申告書Aを使用します。

・給与所得
・公的年金等
・その他の雑所得
・配当所得
・一時所得

※ 上記の所得しかない場合でも、次の場合には「確定申告書B」を使用します。

・予定納税額がある場合
・前年分から繰り越された損失額を本年分から差し引く場合

(2) 確定申告書B

(出典:国税庁ホームページ

確定申告書Bは、所得の種類にかかわらずどのような場合でも使用できます。

前年分から繰り越された損失額を本年分から差し引く場合や、変動所得や臨時所得について平均課税を選択する場合は、この確定申告書Bを使用します。

提出方法

申告書は次のいずれかの方法で提出します。

① e-Taxで申告

 ⇒ 国税庁ホームページで作成した申告書等は、e-Taxで送信できます。

② 郵便又は信書便により申告書を税務署に送付

③ 住所地等の所轄税務署の受付に申告書を提出

 ⇒ 税務署の時間外収受箱への投函により、提出することも可能です。

申告期限

令和2年分の確定申告の申告期限は次のとおりです。

令和3年3月15日(月)

※ 新型コロナウィルス感染症の影響で申告期限が変更される可能性があります。

所得税の納付

納付方法

次のいずれかの方法で納付します。

1、振替納税

指定した金融機関の口座から、納税額が自動的に引き落とされる制度です。

振替納税を利用する場合には、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書(振替依頼書)」に必要事項を記載し、期限までに税務署に提出する必要があります。

2、e-Taxで納付する

自宅からインターネットを利用して納付できます。
e-taxには「ダイレクト納付」「インターネットバンキング」があります。

・ダイレクト納付 … e-Taxによる操作で預貯金口座からの振替により納付する方法です。

・インターネットバンキング … インターネットバンキング等から納付する方法です。

3、クレジットカードで納付する

インターネットを利用して専用のWeb 画面から納付できます。

4、QRコードによりコンビニで納付する

ご自宅などで、確定申告書等作成コーナーやコンビニ納付用QRコード作成専用画面から納付に必要な情報をQRコードとして作成(印刷)し、コンビ二エンスストアで納付できます。納付できる金額は30万円以下となります。

5、金融機関又は税務署の窓口で現金で納付する

金融機関又は税務署の窓口で、納付書により現金で納付する方法です。
納付書をお持ちでない方は税務署で入手できます。金融機関で用意してある場合もあります。

納期限

令和2年分の確定申告の納期限は次のとおりです。

令和3年3月15日(月)

ただし、振替納税を利用している場合の納期限(振替日)は令和3年4月19日(月)となります。

還付の場合

(確定申告書 第一表 右下)

確定申告書 第一表の「還付される税金の受取場所」に、還付金を受け取る銀行口座等の情報を記載することにより、その口座に還付金が振り込まれます。

ただし、一部のインターネット専用銀行については、還付金の振込みができないため、振込みの可否について、あらかじめご利用のインターネット専用銀行に確認します。

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