記事作成者:税理士 林 正和(東京都 板橋区) 公開日:2020年12月16日
(2) 小規模企業共済等掛金控除
(3) 生命保険料控除
(4) 地震保険料控除
(6) ひとり親控除
(7) 勤労学生控除
(8) 障害者控除
(9) 配偶者控除
(10) 配偶者特別控除
(11) 扶養控除
(12) 基礎控除
(14) 医療費控除
(15) 寄附金控除
所得控除の概要は次のとおりです。
(1) 社会保険料控除
社会保険料(国民健康保険料、国民年金保険料など)を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。
(2) 小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について所得控除が受けられます。
(3) 生命保険料控除
生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合には、最高12万円の所得控除を受けることができます。
(4) 地震保険料控除
地震保険などの損害保険料を支払った場合には、最高5万円の所得控除を受けることができます。
(5) 寡婦控除
自分が寡婦であるときは、27万円の所得控除を受けることができます。
(6) ひとり親控除
自分がひとり親であるときは、35万円の所得控除を受けることができます。
(7) 勤労学生控除
自分が勤労学生であるときは、27万円の所得控除を受けることができます。
(8) 障害者控除
自分自身、同一生計配偶者又は扶養親族が障害者の場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
(9) 配偶者控除
自分に控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
(10) 配偶者特別控除
自分の配偶者が48万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。
(11) 扶養控除
自分に控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
(12) 基礎控除
全ての納税者が受けられる控除で、控除額は最高48万円です。ただし、合計所得金額が2,500万円超の場合は控除額は0円です。
(13) 雑損控除
災害や盗難、横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
(14) 医療費控除
医療費を支払った場合にその支払った医療費が一定額を超えるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。
(15) 寄附金控除
国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し特定寄附金を支出した場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
それでは順に見ていきます。
(注) それぞれの所得控除の説明については、国税庁のホームページを参考にこれを加工してできるだけ分かりやすく作成しています。そのため割愛している部分もあります。より詳しい内容をご覧になりたい場合は次のリンクから国税庁のホームページをご確認ください。
社会保険料控除
概要
自分自身や家族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。
対象となる社会保険料
健康保険、国民年金、厚生年金保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険、労働保険、国民年金基金の掛金などが対象となります。
社会保険料控除の金額
令和2年中に実際に支払った金額または給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額です。
なお、年金から特別徴収(天引き)された社会保険料については、年金の受給者自身がその保険料を支払ったことになるため、その年金の受給者の社会保険料として控除することになります。
手続き
手続は次の2つです。
(1) 確定申告書の社会保険料控除の欄に記入する
(2) 国民年金の保険料および国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料や掛金の金額を証する書類を、確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
ただし、給与所得者が既に年末調整でこの控除を受けている場合は、添付又は提示は不要です。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

小規模企業共済等掛金控除
概要
小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について所得控除が受けられます。
対象となる掛金
「小規模企業共済法に規定された共済契約の掛金(旧第二種共済契約の掛金を除きます)」や「確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金」、「心身障害者扶養共済制度」などが対象となります。
小規模企業共済等掛金控除の金額
その年に支払った掛金の全額です。
手続き
手続は次のとおりです。
(1) 確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入する
(2) 支払った掛金の証明書を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
ただし、給与所得者が既に年末調整でこの控除を受けている場合は、添付又は提示は不要です。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(1) 第二表

生命保険料控除
概要
生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
(1) 保険契約を締結した時期により取り扱いが異なります。
・平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料
・平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料
(2) 保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものもあります。

(出典:国税庁ホームページ)
生命保険料控除の金額
(1) 新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合
新契約に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の計算式から求めます。
新契約の保険だけのときの控除額は最高12万円です。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 20,000円 |
80,000円超 | 一律 40,000円 |
(注) 支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。
(2) 旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合
旧契約に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の計算式から求めます。
旧契約の保険だけのときの控除額は最高10万円です。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 25,000円 |
100,000円超 | 一律 50,000円 |
(注) 支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。
新契約と旧契約の両方に加入している場合の控除額
「新契約の保険」と「旧契約の保険」の両方があるときの控除額は最高12万円です。
控除額の計算については「令和2年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」に記載があります。

(出典:国税庁ホームページ)
手続き
手続は次の2つです。
(1) 確定申告書の生命保険料控除の欄に記入する
(2) 支払金額や控除を受けられることを証明する書類等(保険料控除証明書等)を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
ただし、次の証明書類等については提出や提示の必要はありません。
・平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等で年間保険料が9千円以下のもの
・年末調整の際に控除を受けたもの
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

地震保険料控除
概要
特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
旧長期損害保険に係る経過措置
平成19年分から損害保険料控除が廃止されています。
ただし経過措置として、満期返戻金があり、保険期間が10年以上であるなどの一定の要件を満たす長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができます。
地震保険料控除の金額
次により計算した金額が控除額となります。
区分 | 年間の支払保険料の合計 | 控除額 |
(1) 地震保険料 | 50,000円以下 | 支払金額の全額 |
50,000円超 | 一律 50,000円 | |
(2) 旧長期損害保険料 | 10,000円以下 | 支払金額の全額 |
10,000円超 20,000円以下 |
支払金額 × 1/2 + 5,000円 | |
20,000円超 | 15,000円 | |
(1)・(2) 両方がある場合 | - | (1)、(2) それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高 50,000円) |
(注) 一の損害保険契約等又は一の長期損害保険契約等に基づき、地震保険料及び旧長期損害保険料の両方を支払っている場合には、納税者の選択により地震保険料又は旧長期損害保険料のいずれか一方の控除を受けることとなります。
手続き
手続は次の2つです。
(1) 確定申告書の地震保険料の欄に記入する
(2) 支払金額や控除を受けられることを証明する書類等(保険料控除証明書等)を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
ただし、年末調整の際に控除を受けたものについては提出や提示の必要はありません。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

寡婦控除
概要
自分が寡婦であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。
寡婦控除の対象となる人の範囲
寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、ひとり親に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。自分と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。
(1) 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
(2) 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人
なお、この場合は、扶養親族の要件はありません。
(注) 「夫」とは、民法上の婚姻関係にある者をいいます。
寡婦控除の金額
27万円
手続き
確定申告書の寡婦控除の欄に記入します。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

ひとり親控除
概要
自分がひとり親であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これをひとり親控除といいます。ひとり親控除は令和2年分の所得税から適用されます。
ひとり親控除の対象となる人の範囲
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
(2) 生計を一にする子がいること。この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
(3) 合計所得金額が500万円以下であること。
ひとり親控除の金額
35万円
手続き
確定申告書のひとり親控除の欄に記入します。
確定申告所の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

勤労学生控除
概要
自分自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。
勤労学生控除の対象となる人の範囲
勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の3つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) 給与所得などの勤労による所得があること
(2) 合計所得金額が75万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。
(3) (1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
(4) 特定の学校の学生、生徒であること
特定の学校とは、高等学校、大学、高等専門学校などです。特定の学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認できます。
勤労学生控除の金額
27万円
手続き
手続は次の2つです。
(1) 確定申告書の勤労学生控除の欄に記入する
(2) 専修学校や職業訓練学校の生徒等の場合には、在学する専修学校等から必要な証明書の交付を受けて確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
ただし、年末調整の際に控除を受けたものについては提出や提示の必要はありません。
確定申告書の記載欄
(1) 第一表

(2) 第二表

障害者控除
概要
自分自身や同一生計配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。
障害者控除の対象となる人の範囲
対象者は所得税法で定められており、例えば「身体障害者手帳の交付を受けている人」や「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人」などが対象となります。
障害者控除の金額
区分 | 控除額 |
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者(※) | 75万円 |
(※)同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、自分自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方です。
障害者に該当する場合の例 ⇒ 身体障害者手帳 3級以下、精神障害者保険福祉手帳 2級または3級
特別障害者に該当する場合の例 ⇒ 身体障害者手帳 1級または2級、精神障害者保険福祉手帳 1級
手続き
確定申告書の障害者控除の欄に記入します。
(注)国外居住親族について控除の適用を受ける場合は「親族関係書類」および「送金関係書類」の添付が必要です。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表
① 本人が障害者、特別障害者に該当する場合

② 配偶者や親族が障害者、特別障害者に該当する場合

配偶者控除
概要
自分に控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
控除対象配偶者となる人の範囲
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
なお、控除を受ける自分自身の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。
配偶者控除額の金額
控除を受ける納税者本人の合計所得金額、及び控除対象配偶者の年齢により次の表のとおりです。
控除を受ける自分自身の合計所得金額 | 控除額 | |
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者(※) | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超 1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
(注) 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。なお、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できます。
手続き
確定申告書の配偶者控除の欄に記入します。
(注)国外居住親族について控除の適用を受ける場合は「親族関係書類」および「送金関係書類」の添付が必要です。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

配偶者特別控除
概要
配偶者に48万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。
なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。
配偶者特別控除を受けるための要件
(1) 控除を受ける自分自身の令和2年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
(2) 配偶者が、次の要件全てに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること。
(3) 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと、など
配偶者特別控除の控除額
控除額は、控除を受ける自分自身のその年における合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて次のとおりです。
控除を受ける自分自身の合計所得金額 | ||||
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 |
950万円超 1,000万円以下 |
||
配偶者の合計所得金額 | 48万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
手続き
確定申告書の配偶者特別控除の欄に記入します。
(注)国外居住親族について控除の適用を受ける場合は「親族関係書類」および「送金関係書類」の添付が必要です。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表


(2) 第二表

扶養控除
概要
控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
扶養親族に該当する人の範囲
まず、扶養親族とは、その年の12月31日(自分が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。
(注)出国とは、納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
(2) 納税者と生計を一にしていること
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
控除対象扶養親族に該当する人の範囲
控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。
扶養控除額の金額
扶養親族の年齢、同居の有無等により次の表のとおりです。
区分 | 控除額 | |
一般の控除対象扶養親族(※1) | 38万円 | |
特定扶養親族(※2) | 63万円 | |
老人扶養親族(※3) | 同居老親等以外の者 | 48万円 |
同居老親等(※4) | 58万円 |
(※1)控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。
(※2)特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。
(※3)老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
(※4)同居老親等とは、老人扶養親族のうち、自分又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、自分又はその配偶者と普段同居している人をいいます。
(※5)同居老親等の「同居」については、病気の治療のため入院していることにより自分や配偶者と別居している場合は、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って差し支えありません。ただし、老人ホーム等へ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。
手続き
確定申告書の扶養控除の欄に記入します。
(注)国外居住親族について控除の適用を受ける場合は「親族関係書類」および「送金関係書類」の添付が必要です。
確定申告書の記載事項
(1) 第一表

(2) 第二表

(注)16歳未満の扶養親族についても、住民税の計算のために記載します。
基礎控除
概要
全ての納税者が受けられる控除です。ただし、合計所得金額が2,500万円を超えると控除額は0円となります。
基礎控除の金額
自分の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりです。
自分の合計所得金額 | 基礎控除額 |
24,000,000円以下 | 480,000円 |
24,000,000円超 24,500,000円以下 | 320,000円 |
24,500,000円超 25,000,000円以下 | 160,000円 |
25,000,000円超 | 0円 |
手続き
確定申告書の基礎控除の欄に記入します。
確定申告書の記載箇所
第一表

雑損控除
概要
災害や盗難、横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
雑損控除の対象になる資産の要件
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまることが必要です。
(1) 資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 本人
ロ 本人と生計を一にする配偶者や親族で、その年の総所得金額等が48万円以下の者
(2) 棚卸資産や事業用固定資産等、生活に通常必要でない資産のいずれにも該当しない資産であること
(注) 「生活に通常必要でない資産」とは、例えば次のとおりです。
・別荘など趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます)
・貴金属(製品)や書画、骨董など1個又は1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産
損害の原因
次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
雑損控除の金額
次の2つのうちいずれか多い方の金額です。
(1)(差引損失額)-(総所得金額等)× 10%
(2)(差引損失額のうち災害関連支出の金額)- 5万円
(注) 損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。
「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。
差引損失額の計算
差引損失額の計算は次のとおりです。
損害金額 + 災害等に関連したやむを得ない支出の金額 - 保険金などにより補填される金額 = 差引損失額
(注)
(1) 「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。
なお、平成26年分から、損害を受けた資産が減価償却資産である場合には、その資産の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額を基礎として損害金額を計算することができます。
(2) 「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、「災害関連支出の金額」に加え、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のために支出した金額をいいます。
(3) 「保険金などにより補てんされる金額」とは、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額です。
(4) 災害により被害を受けた住宅や家財、車両の損失額の「合理的な計算方法」については、次のリンクをご覧ください。
国税庁ホームページ 雑損控除の適用における「損失額の合理的な計算方法」
手続き
手続は次の2つです。
(1) 確定申告書の雑損控除の欄に記入する
(2) 災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
(注) 雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選べます。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表

医療費控除
概要
医療費を支払った場合には、その医療費の額を基に計算される一定の金額の所得控除を受けることができます。
医療費控除の対象となる医療費の要件
(1) 自分または自分と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費であること
(2) 令和2年1月1日~12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります)
医療費控除の対象となる金額
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
(実際に支払った医療費の合計額 - (1)の金額)- (2)の金額
(1) 保険金などで補てんされる金額
(例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
(注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
(2) 10万円
(注) その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
手続き
手続は次の3つです。
(1) 確定申告書の医療費控除の欄に記入する
(2) 医療費控除の明細書を作成し確定申告書に添付する
医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付する必要があります。
医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。
なお、医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示または提出が求められる場合があります。
(3) 寝たきりの人のおむつ代など一定の医療費については、各種証明書等を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する

(出典:国税庁ホームページ)
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
(1) 次の場合には通常の医療費控除とセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)のいずれかを選択することができます。
① 自分または自分と生計を一にする配偶者や親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った
② 自分がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っている
(2) 計算方法
令和2年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額 - 保険金等により補填される部分の金額 - 12,000円 = 控除額 (最高 88,000円)
(3) 手続き
手続は次の3つです。
(1) 確定申告書の医療費控除の欄に記入する
(2) セルフメディケーション税制の明細書を確定申告書に添付する
(3) 「セルフメディケーション税制の適用を受ける方がその適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類(注)」を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
(注)① 氏名 ② 取組を行った年 ③ 取組に係る事業を行った保険者、事業者若しくは市区町村の名称又は取組に係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載があるものに限ります

(出典:国税庁ホームページ)
確定申告書の記載箇所
第一表

寄附金控除
概要
自分が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。
なお、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができます。
また、新型コロナウイルス感染症等の影響により、文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対して払戻請求権を放棄した場合に受けられる寄附金控除の適用について、次の記事で解説しています。
記事作成者:税理士 林 正和(東京都 板橋区) 公開日:2020年12月18日 新型コロナウィルスに関する確定申告の税制上の措置等について税理士が解説します 新型コロナウィルスに関する確定申告の税制上の措置につ[…]
特定寄附金の範囲
特定寄附金に該当するものの一例は次のとおりです。
(1) 国、地方公共団体に対する寄附金(寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除きます)
(2) 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの
イ 広く一般に募集されること
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること
(3) その他
寄附金控除の金額
次のいずれか低い金額 - 2千円 = 寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額
手続き
手続は次の2つです。
(1) 確定申告書の寄附金控除の欄に記入する
(2) 一定の書類を確定申告書に添付するか、または確定申告書を提出する際に提示する
一定の書類とは、寄附をした団体などから交付を受けた寄附金の受領証(領収書)などになります。
確定申告書の記載箇所
(1) 第一表

(2) 第二表


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