【令和2年分 確定申告】おもな改正点

【令和2年分 確定申告】おもな改正点

記事作成者:税理士 林 正和(東京都 板橋区) 公開日:2020年12月13

令和2年分 確定申告のおもな改正点について税理士が解説します
令和2年分 確定申告の改正点について教えてください。
おもな改正点は次のとおりです。
・基礎控除の引き上げ
・給与所得控除の引き下げ
・公的年金等控除の引き下げ
・所得金額調整控除の創設
・扶養控除、配偶者(特別)控除の変更
・ひとり親控除の創設、寡婦控除の見直し
・青色申告特別控除の変更

令和2年分 確定申告のおもな改正点の概要は次のとおりです

(1) 基礎控除の引き上げ

基礎控除額が10万円引き上げられ、48万円になりました。

(2) 給与所得控除の引き下げ

給与所得控除額が10万円引き下げられました。

(3) 公的年金等控除の引き下げ

公的年金等控除額が10万円引き下げられました。

(4) 所得金額調整控除の創設

次の2つの所得金額調整控除が創設されました。

① 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

② 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

(5) 扶養控除、配偶者(特別)控除の変更

給与所得控除額や公的年金等控除額がそれぞれ10万円引き下げられたことに伴い、扶養控除や配偶者控除の対象となる合計所得金額が48万円以下になりました。

同様に、配偶者特別控除の対象となる合計所得金額も48万円超から133万円以下になりました。

(6) ひとり親控除の創設、寡婦控除の見直し

未婚のひとり親を対象とするひとり親控除が創設されました。これに伴い、寡婦控除の見直しが行われました。

(7) 青色申告特別控除の変更

e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行わない場合は、青色申告特別控除額が最大で55万円に引き下げられました。

それでは順に見ていきます

基礎控除の引き上げ

所得税を計算する際、無条件で一定の金額を所得から控除することができます。これを「基礎控除」といいます。人は生活をしていくうえで最低限必要となる金額があり、この部分には課税しないという趣旨でこの控除が定められています。

改正前は一律380,000円でしたが、令和2年分以後については、所得により控除額が異なります。

(1) 合計所得金額が24,000,000円以下の場合

基礎控除額 48万円

(2) 合計所得金額が24,000,000円超の場合

基礎控除額は段階的に下がっていき、25,000,000円を超えると基礎控除額は0円となります。

基礎控除額の求め方は次のとおりです。

合計所得金額 基礎控除額
改正前 改正後
24,000,000円以下 380,000円 480,000円
24,000,000円超 24,500,000円以下 320,000円
24,500,000円超 25,000,000円以下 160,000円
25,000,000円超 0円

給与所得控除の引き下げ

会社員などの給与所得を計算する場合は、収入金額から一定額を控除して税額を計算します。この控除のことを「給与所得控除」といいます。

事業を行っている個人の場合、売上(収入金額)から、必要経費を控除することができますが、給与収入の場合はこの必要経費を控除することは認められていません(※1)。その代わりに、概算的な経費として給与所得控除という一定額を、給与収入から差し引くことが認められています。

令和2年分からはこの給与所得控除額につき、以下の2点の引き下げが行われました。

(1) 一律 100,000円の引き下げ
(2) 上限額の引き下げ

給与所得控除額の求め方は次のとおりです。

給与等の収入金額 給与所得控除額
改正前 改正後
1,625,000円以下 650,000円 550,000円
1,625,000円超 1,800,000円以下 収入金額×40% 収入金額×40%-100,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超 8,500,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超 10,000,000円以下 1,950,000円(上限)
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

例えば給与収入の金額が1,625,000円以下の場合を令和元年分と令和2年分で比較すると次のように10万円の引き下げとなっています。

(給与所得控除額の金額)

令和元年分 650,000円
令和2年分 550,000円

(※1)一定の支出(研修費、図書費、交際費など)ついては、「特定支出控除」という制度があり、一定額を収入金額から控除することができます。

公的年金等控除の引き下げ

公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。この公的年金等控除額について改正がされました。

① 公的年金等控除額の引き下げが行われました。例えば、公的年金等以外の所得が1,000万円以下の場合には、10万円が引き下げられました。

② 公的年金等控除額の上限額が設けられました。

③ 公的年金等以外の所得金額により、計算区分が3つに分かれました。

公的年金等控除額の求め方は次のとおりです。

(1) 昭和31 年1月2日以後に生まれた方(65 歳未満)

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額
~ 10,000,000円 ~ 20,000,000円 20,000,001円 ~
~ 1,300,000円 600,000円 500,000円 400,000円
~ 4,100,000円 公的年金等の収入金額× 0.25 + 275,000円 公的年金等の収入金額× 0.25 + 175,000円 公的年金等の収入金額× 0.25 + 75,000円
~ 7,700,000円 公的年金等の収入金額× 0.15 + 685,000円 公的年金等の収入金額× 0.15 + 585,000円 公的年金等の収入金額 ×0.15 + 485,000円
~ 10,000,000円 公的年金等の収入金額× 0.05 + 1,455,000円 公的年金等の収入金額× 0.05 + 1,355,000円 公的年金等の収入金額× 0.05 + 1,255,000円
10,000,001円 ~ 1,955,000円 1,855,000円 1,755,000円

(2) 昭和31 年1月1日以前に生まれた方(65 歳以上)

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額
~ 10,000,000円 ~ 20,000,000円 20,000,001円 ~
~ 3,300,000円 1,100,000円 1,000,000円 900,000円
~ 4,100,000円 公的年金等の収入金額× 0.25 + 275,000円 公的年金等の収入金額× 0.25 + 175,000円 公的年金等の収入金額× 0.25 + 75,000円
~ 7,700,000円 公的年金等の収入金額× 0.15 + 685,000円 公的年金等の収入金額× 0.15 + 585,000円 公的年金等の収入金額 ×0.15 + 485,000円
~ 10,000,000円 公的年金等の収入金額× 0.05 + 1,455,000円 公的年金等の収入金額× 0.05 + 1,355,000円 公的年金等の収入金額× 0.05 + 1,255,000円
10,000,001円 ~ 1,955,000円 1,855,000円 1,755,000円

所得金額調整控除の創設

所得金額調整控除には次の2種類があります。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

令和2年分から、給与収入が 8,500,000円を超える場合の給与所得控除額が1,950,000円(上限)に引き下げられました。この引き下げにより、子育て世代や介護をしている者などの負担が増えないようにするため「所得金額調整控除」が創設されました。

(1) 適用対象者

適用対象者は、年収が850万円超で次のいずれかに該当する者です。

① 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
② 本人が特別障害者に該当する者
③ 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者

(2) 所得金額調整控除額の計算

所得金額調整控除額の計算式は以下のとおりです。

{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}× 10%

(3) 留意点

この控除は扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。

例えば夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方がこの控除の適用を受けることができます。

給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

令和2年分の改正では、給与所得控除と公的年金等控除がそれぞれ10万円ずつ引き下げられました。そのため給与と年金の両方の所得がある場合には合計20万円の所得が増えることになります。

この場合に、所得の増加額を10万円に抑えるためにこの所得金額調整控除が創設されました。

(1) 適用対象者

給与と公的年金等の両方の所得がある者

(2) 所得金額調整控除額の計算

{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額(注)

(注) 「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の所得金額調整控除の適用がある場合は、その適用後の給与所得の金額から控除します。

扶養控除、配偶者(特別)控除の変更

令和2年分から「基礎控除」と「給与所得控除」の改正がありました。扶養親族等の給与等の収入金額が変わらないときは、改正前と改正後でその扶養親族等の合計所得金額要件の判定が変わらないようにするため、以下のように金額の見直しが行われました。

扶養親族等の区分 合計所得金額要件
改正前 改正後
 同一生計配偶者及び扶養親族 380,000円以下 480,000円以下
 配偶者特別控除の対象となる
配偶者
380,000円超 1,230,000円以下 480,000円超 1,330,000円以下
 勤労学生
650,000円以下
750,000円以下

上記のほか、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が550,000円(改正前:650,000円)に引き下げられました。

ひとり親控除の創設、寡婦控除の見直し

子どもの生まれた環境や家庭の経済事情に関わらず、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現するために、ひとり親に対する税制上の措置が創設されました。これに伴い、従来の寡婦(寡夫)控除の見直しがされました。

ひとり親控除の創設

(1) 適用対象者

ひとり親が対象者です。ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、「婚姻をしていないこと」または「配偶者の生死の明らかでない一定の人」のうち、次の3つの要件の全てに当てはまる人です。

① その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
② 生計を一にする子がいること。(この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます)
③ 合計所得金額が500万円以下であること。

(2) 控除額

35万円

寡婦控除の見直し

ひとり親控除の創設に伴い、従来の寡婦(寡夫)控除の見直しが行われました。

(1) 適用対象者

寡婦の方が対象となります。寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、上記の「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。ただし、納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。

(1) 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人

(2) 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人
⇒ この(2)の場合は、扶養親族の要件はありません。

(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある者をいいます。

(2) 控除額

27万円

青色申告特別控除の変更

令和元年分までは、次の要件を満たすと、事業所得、不動産所得から合計で最高65万円を控除することができました。令和2年分からは次の要件を満たしただけでは最高55万円の控除となります。

・青色申告者である

・不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること

・複式簿記により記帳していること

・確定申告書への貸借対照表などの添付および金額の記載

・期限内申告をすること

令和2年分からは、上記の要件に加え次のいずれかの要件を満たした場合には最高で65万円の控除が受けられます。

・仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存を行う

・所得税の申告をe-Tax(国税電子申告・納税システム)で行う

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