マイホームの購入・売却に関する税金 その1(印紙税、登録免許税、不動産取得税)

マイホームの購入・売却に関する税金 その1(印紙税、登録免許税、不動産取得税)

この記事について

「マイホームの購入・売却に関する税金 その1」と「その2」をまとめ、加筆したものを2020年12月3日に掲載しています。次のリンクから最新の記事をご覧ください

マイホームの〈購入〉に関する税金

記事作成者:税理士 林 正和(東京都 板橋区) 公開日:2020年10月19日

今日からはマイホームの購入・売却に関する税金についてご説明したいと思います。マイホームを購入すると、物件購入費用以外にも様々な諸経費がかかります。これらの諸経費のうち税金を中心に、かつ、購入する人も多いであろうマンションを取得した場合にかかる税金を見ていきます。

※ 以下に記載した税額及び税率はケースにより異なることがあります。

印紙税

売買契約書にかかるもの

マンションを購入する際は、通常、不動産業者を通じて物件を見て回ることになります。気に入った物件があれば、売主と買主で売買契約を交わすことになり、その契約書に収入印紙を貼ります。仮にマンションの金額が4,000万円の場合、印紙代は1万円(※1)となります。

印紙税は、印紙を購入し契約書に貼ることで納付しますが、印紙を貼っただけでは納めたことにならず、消印(印紙と下の契約書にまたがって押す印)が必要です。消印をすることで、印紙がすでに使用済みであることが分かり、再使用を防止しています。

(※1)本則は2万円ですが、2022年3月31日まで税額が軽減されています。

住宅ローン契約書にかかるもの

マンションを購入する場合、購入代金を現金一括で支払うことはあまりなく、通常は住宅ローンを利用することが多いです。そのときに銀行等(貸主)と住宅ローンの契約を結び、その契約書に収入印紙を貼ります。仮に借入金の金額が3,000万円の場合、印紙代は2万円(※2)となります。

(※2)契約書が1通の場合

登録免許税

所有権保存登記にかかるもの

マンションを購入した場合、法務局へ不動産登記を行います。不動産登記とは、不動産の所有者が誰なのかをはっきりさせ、不動産取引を安全かつ円滑に行うことを目的としている制度です。この不動産登記をする際に、登録免許税という税金を納めます。登録免許税は、以下の①と②の合計額となります。

① 建物の固定資産税評価額      × 0.15%(※3)
② 土地(敷地権)の固定資産税評価額 × 1.5% (※4)

固定資産税評価額とは、各市町村(東京都23区の場合は都)が算定するもので、固定資産税、都市計画税や不動産取得税などの税金を計算する際の基準にもなっています。

(※3)2022年3月31日までの登記に適用される住宅の特例税率
(※4)2021年3月31日までの登記に適用される税率(本来の税率は2%)

抵当権設定登記にかかるもの

抵当権の設定とは、銀行等から住宅ローンなどで借入れをしたときに、建物と土地に担保権を設定することです。この登記のことを抵当権設定登記といいます。これにより、銀行等は住宅ローンの返済が滞って返済が困難であると判断した場合、一定の手続きのうえ、建物と土地を競売にかけて貸付金(住宅ローン)の回収を図ります。この登記をする際に、登録免許税という税金を納めます。借入金の額が3,000万円の場合、税額は3万円(※5)です。

(※5)住宅用家屋の軽減税率0.1%を適用した場合

不動産取得税

不動産を取得した際に、一度だけかかる税金です。税額はマンションの固定資産税評価額×3%(※6)です。ただし、住宅と土地には軽減措置があるため税額が0円となる場合もあります。東京都の場合、軽減措置を受けるためには、マンションを取得後一定の期日までに「不動産取得税申告書」と添付書類を所轄の都税事務所等に提出します。

(※6)税率は原則4%ですが、2021年3月31日までに取得した不動産の場合は特例措置により3%になっています。

その他の諸経費

固定資産税

固定資産税は、厳密には不動産の取得時にかかる税金ではありません。毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して課税されます。固定資産税は土地・家屋の課税標準額(固定資産税評価額に一定の調整を加えたもの)に1.4%の税率を乗じて計算します。

また、都市計画法による都市計画区域のうち、原則として市街化区域内に所在する土地及び家屋については都市計画税もかかり、土地・家屋の課税標準額に最高で0.3%の税率を乗じて計算します。

税金以外の諸経費

マンションの取得に際しての税金以外の諸経費をいくつか挙げてみます。

・仲介手数料
・融資手数料
・ローン保証料
・火災保険料、地震保険料
・司法書士への登記手数料など

マンション購入の諸経費については税金も含め様々ありますが、おおよそ物件価格の7~10%程度が目安と言われているようです。マンション購入の際は諸経費も含め、余裕を持って購入資金の準備をしましょう。

本日は、マンションを取得した場合にかかる税金を中心に見てきました。毎年納付している所得税などと比べて、不動産を取得しなければあまり馴染みのない税金も多かったですね。不動産を取得すると色々と税金がかかるんだな、程度に理解して頂ければと思います。明日もマイホームに関する税金を見ていきましょう。

それではまた次回よろしくお願いします。

(公開日:2020年10月19日)