この記事について
「相続税の基礎知識 その1」から「その3」までをまとめ、加筆したものを2020年12月2日に掲載しています。次のリンクから最新の記事をご覧ください。
「相続税申告までの流れ」と「相続税の計算方法」
今日から3日間にわたって相続税の基礎知識について見ていきたいと思います。
平成27年に相続税法の改正があった影響で、相続税がかかる人の対象が広がり、かつ、納税額も増えることになりました。そのため、実際に相続が発生したらどのくらいの納税額になり、今の財産で納付することができるのか不安な方も多いと思います。相続税の基礎知識を身につけることで少しでも不安を解消していきましょう。明後日までの3日間で相続税額の計算までのおおまかな流れを確認する予定です。
今回は、相続が発生してから相続税の申告までの主な項目を確認します。
市区町村役場への死亡届の提出
- 死亡の事実を知った日から7日以内
死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村役場に死亡届を出します 。死亡届を提出することで「火葬許可証」が発行されます。死亡届の提出は、葬儀社の方に代行してもらうこともできるようです。
どのように相続するかの検討
- 被相続人の死亡を知った日から3か月以内
相続には、以下の3つの方法があります。
① 単純承認 … 「プラスの財産」も「マイナスの財産」も無条件ですべて相続する方法
② 限定承認 … 「プラスの財産」の範囲内で「マイナスの財産」も相続する方法
③ 相続放棄 … 「プラスの財産」も「マイナスの財産」も相続しない方法
限定承認や相続放棄をする場合には、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをします 。
相続放棄をする例として、被相続人が多額の借金を抱えており、明らかにマイナスの財産がプラスの財産より多い場合が挙げられます。今後詳しく見ていきましょう。
※「被相続人の死亡を知った日」とは、通常、被相続人が亡くなった日となります。
※ 預貯金、不動産などを「プラスの財産」、借入金、未払金などを「マイナスの財産」と表記しています。
準確定申告
- 被相続人の死亡を知った日の翌日から4か月以内
被相続人につき、「亡くなった年の1月1日から亡くなった日」までに一定の所得がある場合には、税務署に準確定申告書を提出し、税金を納付しなければなりません。
また、被相続人が1月1日から3月15日の間になくなった場合などで、前年分に一定の所得があり、かつ、前年分の確定申告書を提出しないで亡くなったときは、前年分の準確定申告書も提出し、納付しなければなりません。
準確定申告書の提出期限・納期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から4か月以内となっています。
※ 準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得について、相続人が代わりに行う確定申告のことです。
※ 準確定申告書を提出することで、税金が戻ってくる「還付」になることもあります。
相続税の申告・納付を行う
- 被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内
相続税がかかる場合や、相続税が少なくなる特例を使う場合などは、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告書を税務署に提出し、かつ、相続税を納付しなければなりません。
その他の手続き
以下にその他の手続等をいくつか挙げました。
・遺言書の有無の確認
・被相続人の財産・債務の確定
・遺産分割協議および遺産分割協議書の作成
・被相続人が生命保険に入っていた場合は、その請求
・高額医療費の申請
・健康保険の資格喪失の手続
・年金の受給停止手続き
・公共料金の名義変更
・土地建物を相続した場合には登記申請
相続税の申告・納付については、被相続人が亡くなられてから10か月以内に行います。亡くなられてからしばらくの間は葬儀などがあり、財産・債務の確定や相続人間での遺産分割の話し合いなどをすることは難しいでしょう。一段落してから、相続税の申告の準備を進めることになりますが、各種手続きや相続人間での話し合いなど、思った以上に時間がかかるものです。
そのため、場合によっては各専門家を交えて、早めの対応をしていくようにしましょう。明日はより具体的な内容を見ていきたいと思います。
それではまた次回よろしくお願いします。
(公開日:2020年10月14日)