この記事について
「個人事業にかかる税金 その1」と「その2」をまとめ、加筆したものを2020年12月1日に公開しています。次のリンクから最新の記事をご覧ください。
今日は引き続き、個人事業にかかる税金を見ていきます。
昨日、所得税と消費税を確認しました。今日は以下の3つです。
・住民税
・個人事業税
・償却資産税
それでは見ていきましょう。
住民税
所得税と同じように、もうけ(所得)に対して課税される税金です。
計算方法
暦年(1月~12月)で所得を計算し、所得に対して税金がかかります。
「所得税」が超過累進税率を採用しているのに対し、「住民税」の税率は一律10%です
。ちなみに住民税とは「都道府県民税(4%)」と「市町村民税(6%)」の2つの税金の総称です。
申告方法
所得税の確定申告書を税務署に提出すると、その情報が各市区町村に送られるため、別途住民税の申告をする必要はありません。
納付方法
住民税の納付方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2つの納付方法があります。
1、 普通徴収 … 毎年6月頃に納付書が市区町村から本人宛てに送られてきて、年4回に分けて支払います。一括で支払うことも可能です。個人事業主自身の住民税はこの普通徴収で納めます。
2、 特別徴収 … 給与から住民税を控除する方法です。個人事業主が従業員を雇った場合、原則として、従業員への給与の支払時に住民税を控除して、翌月10日までに納付します。毎月納付するのは事務手数がかかるため、従業員が10人未満であれば、半年ごとの納付にすることもできます。その場合は、「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出します。
上記のように個人事業主は、自分自身の住民税の支払いと、従業員がいる場合は給与から控除した住民税の支払いをする必要があります。ただし、従業員の住民税については給与から控除した金額を、そのまま納付するだけですので、個人事業主に金銭の負担はありません。
個人事業税
個人が行っている事業が、法定業種に該当する場合に個人事業税がかかります。法定業種には物品販売業や飲食店業、不動産貸付業など70の業種が定められており、ほとんどの事業が該当することになります。
計算方法
個人事業税も、所得税と同じように、もうけ(所得)に対して課税される税金です。個人事業税で特徴的な点は、年間290万円の「事業主控除」がある点です。年間290万円までの所得には個人事業税がかかりません。
税率は3%~5%となっており、業種によって定められています。例えば物品販売業や飲食店業、不動産貸付業は5%となっています。
申告方法
所得税の確定申告書を提出すると、その情報が各都道府県に送られるため、別途個人事業税の申告をする必要はありません。所得税の確定申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入しましょう。
納付方法
各都道府県から8月頃に納付書が送られてきます。納付時期はおおむね8月と11月の年2回です。
必要経費計上について
個人事業税を支払った場合は、個人事業の必要経費として計上できます。一方、所得税や住民税を支払ったときには必要経費にすることはできません。個人事業税を支払った場合は忘れずに必要経費に計上しましょう。
償却資産税
償却資産税とは固定資産税の一種です。固定資産税というと土地・家屋を所有しているときにかかる税金というイメージが強いです。ただし、「機械・装置」や「工具・器具・備品」などの資産(償却資産といいます)を所有していても固定資産税がかかることがあり、この固定資産税のことを償却資産税と呼んでいます 。
計算方法
毎年1月1日時点で、「機械・装置」や「工具・器具・備品」などの償却資産を所有しており、その合計額が150万円以上のときに課税されます。税率は1.4%です。
申告方法
償却資産申告書に、所有している資産の名称、取得日、取得価額などを記載して、毎年1月末までに提出します。提出先は東京都の場合、各都税事務所などになります。
納付方法
6月上旬位に納付書が送られてくるので、年4回に分けて支払います。一括払いすることもできます。
必要経費計上について
個人事業税と同様に、償却資産税を支払ったときも個人事業の必要経費として計上することができます。忘れずに必要経費に計上しましょう。
いかがでしたでしょうか。2日間にわたって個人事業に係る税金について見てきました。それぞれの納税の時期と金額を把握しておかないと、思わぬタイミングで資金繰りに影響を及ぼすことがあります。納税の準備を計画的にしておきましょう。
それではまた次回よろしくお願いします。
(公開日:2020年10月9日)